11月によく聴いた音楽です。
- group_inou「HAPPENING」
- Altessimo&彩「組曲 -to All Ages Concerto-」
- Legenders&C.FIRST「Secret Light」
- 黒鉄たま(秋奈)、白銀煌(小宮有紗)「探す獣」
- 木村龍(濱健人)「SPARKLE SIGN」
- 彩「愛笑華!」
- death's dynamic shroud『Transcendence Bot』
- NTsKi『Calla』
group_inou「HAPPENING」
group_inouの……新曲!?!?
group_inouの新曲をリアルタイムで追ってるって2023年の中でも本当にいいことだったかも。
Altessimo&彩「組曲 -to All Ages Concerto-」
発売前ですが3DCGライブで披露されて、そのアーカイブが1ヶ月あるのでずっと聴いています。以降の文章にはフルのネタバレがあります。
オーケストレーションに拍子木や和太鼓のリズムと早口の歌詞とコーレスが重なって、転調を20回していて展開も音もすごくにぎやかなのですが、
不意に貴方と仰ぎ見た日 あった空の色のような
継ぎ目ない物語を描きましょう
という、最初のフレーズをもう一度最後に繰り返すのがすごく好きです。
この曲は11月18日と19日に開催されたSideMの3DCGライブで、Altessimoと彩を含む4ユニットが参加した公演のうちAltessimoと彩のお当番回「harmony cord(共鳴和音)」のテーマ曲で、公演タイトルがラストに回収される展開がぐっとくる。
祈りだけじゃ終わらないんです
ずっと続く夢を寿ぎ
どこまでも流れてく
harmony cord
公演はクラシックに馴染みのあるAltessimoと伝統的な日本文化に触れてきた彩ということで「伝統」がテーマになっているんですが、現代からみる古典の面白さの感覚を素直に表した歌詞が音楽讃歌のようになっていて泣けます(「真髄は相容れない音楽なんてこの世にない」「思うよりも近くにいる どんなメロとだって僕らは」「折衷じゃなくそのままでいいんです」)。
Legenders&C.FIRST「Secret Light」
同様にSideMの3DCGライブでフルが披露された、LegendersとC.FIRSTのお当番回「DIMENSION ARROW」のテーマ曲です。
Legendersのソフィスティケイテッドで都会的な音と、C.FIRSTのフレッシュなEDM感のイメージが合わさるとセンチメンタルな四つ打ちになるんだ!という嬉しさと納得感。歌詞がとにかくすごいと思っていて、
そう、いつか 旅の終わり 君という Star Light
というサビ前のフレーズにまず驚きました。「旅の先」とかではなく「旅の終わり」という言葉が使われていることで、この「旅」の纏うイメージが変わります。例えば「旅の先」だったら未知のワクワク感があってポジティブな要素も含まれていそうですが、「旅の終わり」からは、時間への感傷や孤独が連想され、ポジティブとは言いがたいです。弱さを見せる言葉選びにドキッとしてしまいます。
そう 流れる星は僕らだ 刹那を燃やして輝く
存在の意味を教えてくれた人
どうか君が今でも僕を待ってますように
C.FIRSTが担当するパートのこのフレーズも強烈です。アイドルにこれを歌われたらたまらなくて感情がめちゃくちゃになってしまう。
一度限りの日々
Redoなんかできないから
眠れないまま迎えたあの日を
忘れない 忘れない So Higher Dream
ただ、その中にある強さも確かに描いています。
黒鉄たま(秋奈)、白銀煌(小宮有紗)「探す獣」
ウ山あまねさんのワークは、音楽というより音として耳に入ってくる音というか、例えば「メロディがいい」とか「コードが面白い」みたいなリスニングの姿勢とは違う感性にヒットする音が多用されていると日々感じているのですが、その感覚とは(個人的な感覚では)近いところにはないロマンティックなムードがなぜか立ち上がってくるところが大好きで、わたしはそれが湯気のイメージと結びついています(『ムームート』のビジュアルに影響を受けすぎているだけかも)。「探す獣」は、そのゆらゆらしてつかめないロマンティックなところはそのままにダンサブルで、かつカワイイ系の声とのバランスが取れたポップさがあってすごく好きです。もしかしたら電音部の楽曲で一番好きかもしれない……。
木村龍(濱健人)「SPARKLE SIGN」
とにかく歌詞がすごすぎる。まず「晴れた空が少し不安で」っていう歌い出しがすごい。この明るい曲調で、晴れた空に不安というイメージを重ねるのがすごい。
煌めく
傷のSIREN 軌跡(あと)になって 夢を手繰った
頑張れるって思うたびに SPARKLE
「煌めく」の次に来るのが「傷」ってすごすぎる。ふつう、光とか星とかポジティブなイメージと一緒に用いられるはずだし、その後の「SIREN」も聴覚のイメージが先に来るのに「軌跡(あと)になって」という視覚のイメージが続く。小さな裏切りが続いて全部すごく心に残る。ネガティブな経験や思いをポジティブに変えていく明るさを、こういう言葉選びで表現するのは本当にすごい。
傷を知ってたぶんよかった
涙にほら寄り添えるから
このフレーズも前半で裏切って後半はストレートに伝えてきて、すごく印象的だ。
彩「愛笑華!」
そう、そう、ほんとにそう!
death's dynamic shroud『Transcendence Bot』
アルバムを3つ出したdeath's dynamic shroudですが(すごい同人作家?)このアルバムが一番好きでした。
NTsKi『Calla』
母を亡くした後、その思い出や愛について歌っているということで、とてもパーソナルな思いの強さは曲からも感じられるし、ただ美しいというには、ちょっとまだ言葉を持ち合わせていない。
11月によく聴いた音楽でした。