トロピカル墓場

好きなものは好きだからしょうがない!!

『奇想同人音声評論誌 空耳2』に寄稿しました

 5月19日に開催される文学フリマ38にて頒布される、「空耳製作委員会」さんの新刊に寄稿をしています!『奇想同人音声評論誌 空耳』を一読者として楽しんでいたので、めちゃめちゃ恐縮で光栄です。こういった制作にかかわることは初めてなので右も左もわからない中製作委員のみなさまにたくさん助けていただきました。

 わたしは「「彼」と「あなた」のリミナルなカンケイ」というタイトルで、DLsiteがるまにの乙女向け同人フロアで販売されている以下の3作品をとある視点から取り上げました。その「とある視点」が作品のネタバレ要素でもあるため、もしよければ作品を聴いてからお楽しみいただけると幸いです。

 

  • 登録タイトル:百道大介(サークル「さめきざはし」)

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  • High Dimension -まほろばの箱庭-(サークル「High Dimension」)

今回寄稿されている駒澤零さんが制作にかかわっておられる作品です。

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  • 屠られ彼氏~シチュ彼屠畜場~(サークル「屠られ彼氏製作委員会」)※成人向け作品

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 お誘いをいただいてから原稿に取りかかるまで一番色々と考えたのは、「女性向け」ってなんだろう、ということです。

 わたしはフィクションに接する時に現実の自分のあらゆる属性から自由になれることが好きなので、こちらにシスヘテロ女性であることを強いてくる作品に対して、なんというか愛憎があります。『奇想同人音声評論誌 空耳』に出会った時、「奇想」という視座に光を見たような気がして、すごく楽になった気がしたんですよね。だから、自分がこの21世紀のマーケットにある「なんとなくの雰囲気」に乗っかって「女性向け」を論じるということはどうしてもしたくなくて、すごく悩みました。

 正確さと慎重さが求められることは理解しつつ、ふにゃふにゃなことしか言えないのですが、「女性向け」「男性向け」というのは、単なるカテゴリだけではなく、作品傾向をジェンダーに帰結させる危うさを持っていると思っています(カテゴリとしても男女二元論の再生産をしている)。

macc.bunka.go.jp

 試行錯誤する中で注目したのは「乙女」という言葉です。DLsiteでも、販売フロアが「女性向け」>「乙女向け/TL」/「BL」となっており使用されていて、この記事を読んで、暗黙のうちに受容していた「乙女」が"女性主人公と男性キャラとの恋愛要素があるゲームのプレイヤー"から発展し、その周辺ジャンル愛好者を指すことについておおむね相違はなさそうだということを確認しました。

 寄稿の中では、寄稿文章における「乙女向け音声作品」を定義するところから始めています。そうやってなるべくフラットにできるよう考えているけど、間違っていることもあると思います。これからもずっと考え続けていくであろうことに、今のわたしができることをしました。

 そんな感じの拙文、よろしくお願いします!