トロピカル墓場

好きなものは好きだからしょうがない!!

「古書店街の橋姫」感想

18禁BLゲーム・ADELTA「古書店街の橋姫」

 


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大正十一年六月 梅雨の神保町

会津から上京してきた玉森は、帝大合格を目指す浪人生。
しかし底知れない空想癖とだらしない性格が災いし、たった二年で下宿先に見限られてしまう。
とある縁で古書店・梅鉢堂に住み込みで働くことになった玉森は、
同郷の親友らに甘えながらも浪人生という猶予期間を謳歌していた。

そんな中、頼りにしていた親友の相次ぐ自殺と怪死。
雨の降る三日間をなぜか繰り返していることに気づいた玉森は、
彼らを掬うため神保町を奔走する。


何が現実で、
何が幻覚なのか。

友人の死の謎を追う、ポップオカルトな大正ミステリー

 SF、サスペンス、戦争と災害、セカイ系など要素が詰め込まれたストーリーでめちゃくちゃ圧倒されました!まさしくドグラ・マグラのような荒唐無稽さと人間の生々しさと極地的な美しさが合わさっている足し算のシナリオ。夢野久作作品を始めとにかくモチーフとなった作品が多すぎてすごい。くろさわさんは文学部主席なんでしょうか。

 玉森の中で「友情」で蓋をしていた関係が時間跳躍を繰り返すごとに均衡が保てなくなり、玉森のことを追い詰めプレイヤーの心も侵食してくるような、萌えと同時にダメージを負いながら目が離せなくて、ものすごい集中力でテキストを目で追っていました。何度もバッドエンドを繰り返して玉森が攻略キャラクターと自分の関係に気づいていくのがとても良い。立ち絵・スチルのイラスト的な絵柄、鮮やかな色彩と、シリアスなストーリー、キャラクターが発露する決して聖なるものとは言えないような感情の数々のギャップが本当に好き。

 

  • 水上(第一話)

 水上~~~~~~!!!!はあ~~~~~~……………………(天を仰ぐ)

 好きという言葉だけで済ませるのは難しくて、めちゃめちゃ面白くてめちゃめちゃ心を抉られ、めちゃめちゃ悶えたルートです。どこをとっても語りつくせないと感じるのでかなり断片的な感想になってしまうのですが、中盤の展開はやっぱりいい意味でショックを受けました。鮮明に。水上の玉森への想いが奥さんの口から打ち明けられるシーンが胸に残っています……。直前で水上の本名と帝大生ではなかったことが明かされて、ウワ~!と膝を打つ間もないスピード感で畳みかけられる展開がすごい。水上の気持ちを大切に思うからこそ自らの秘密をも見せる奥さんの覚悟。自分の弱さをグズグズに曝け出して水上を止めようとする玉森、普段の様子とのギャップに萌える隙もないくらい感情移入してしまい水上~~~~~~(爆泣)(ばっきゅう)となりました……。

 終盤に差し掛かっても時間跳躍ごとに伏線回収というか、そういうことか~!となるのでずっとおもしろい……おもしろい……と面白さにうなされていました。店主のいた世界線、とんでもねーな、とんでもねーよ……(オタクの桃城武)この結末に辿り着いてほしくはないという気持ちだけど、同時にそれを描き切ったシナリオと怒涛の枚数のスチルに唸らされます。本当にすごい。

 逃避行のように身を寄せ合う2人や幻想を交わし合うシーンは痛みとやさしさのあわいを感じて胸が苦しくなりました……。水上からのキスめちゃめちゃ悶えた……。

 

  • 川瀬(第二話)

 水上ルートのストーリー、というか「古書店街の橋姫 第一話」のインパクトはやはり何にも代えがたく大好きなのですが、キャラとしては共通シナリオ部分から川瀬が好きすぎて狂っていました。心をかき乱されすぎてメチャメチャになるので言葉選びが全然うまくできないのですが、川瀬ルートの感想は全部このくらいの声量だと想定していただきたいです。

 川瀬を構成するすべての要素も玉森との関係もとにかくめちゃくちゃに、めちゃくちゃに好きだ。とにかくものすごい引力を持っているキャラクター。特に声!マルクスさんの声が麗しくて川瀬が喋るたびにAphex Twinのような邪悪な表情を浮かべてしまった。

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Aphex Twinの表情)

 橋姫の力を手に入れ、玉森に自分の思いをさまざまに打ち明けるシーンは、台詞の一つひとつが刺さりすぎて抜けなくなりました。好き……。クライマックスの2人の試し行為的な駆け引きがアチアチ。相手を守りたい気持ちと、それを利用できるかというギリギリな攻防から目が離せなかった。

 

  • 花澤(第三話)

 好きだけど苦しいけど好きなルート。他のシナリオも好きとダメージがせめぎ合っているのですが花澤ルートは特に「気を抜くと殺られる」という緊張感を伴った「好き」です。でも好き……っ。

 花澤の吐息と喘ぎがエッチ!!!(攻めの喘ぎだいすきクラブ)玉森の喘ぎも快楽マシマシでエッチだった!着衣スチルと無理矢理、苦しそうな表情がグッドです。自分を犯す相手に助けを求めるしかない玉森、かわいそうでかわいい。朴訥としたトーンはそのままにその中で感情が止められないような苦しげな声色で玉森に想いを打ち明けて以降の演技がものすごかった……。

 クライマックスで紀元前に向かった2人、どうしようもなく感じるいつか来る破滅の予感と2人きりの世界というロマンの紙一重感のドキドキがあって、めちゃめちゃハラハラしました。遠回りな心中だと思っています。でも全然攻めの思い通りにならない玉森が好きなのでお見事だった。「二人っきりの地獄」、橋姫イチ胸が高鳴ったワードかもしれません。後日談で超苦しくなりました。ウウウ……でも花澤の弱さが見えてドキドキした。

 

  • 博士(第四話)

 ずっと博士の好意がわかりつつも応じることが叶わなかったので、やっと攻略できるー!とジャンプした。とはいえ、博士が玉森に向ける感情も決して生易しいものではなかったのですが……。ここまで橋姫の力がキーとなってストーリーがさまざまに展開されていて、その上での「攻めも受けもパラレルワールドを行き来できる」という新たな要素にワクワクした。

 博士の通常モードの喘ぎ悶える声、または対水上や「命乞い、ですか?」とかのヤバげトーン、両極端に危うい演技が最高だった。そして砂山と一剣のたおやかな声がずっと心を涼やかにしてくれました。口調がフェチ……。

 出会わないためにやり直した先で同じ出会いを繰り返すの、最終回のEDで1期のOPが流れるような感動がありめちゃくちゃアツくなりました。博士にしかできない方法で玉森を見つける博士がかっこよかった。

 

  • 能面の男(カオル)(第五話)

 ここまで何度も思い通りにならない姿に、おもしれー男と思いながらかなり愛着がわいていた玉森に急に手を放されるような(そんなことはないんですけど)、そういうショックを引きずるシナリオ。カオルルート、諸々をいまだ消化できてないので嵐の中を通った後のような感覚だけが残っていて、キャラやストーリーについて語れるほどの咀嚼ができている自信がまだないです……。最後の最後までプレイヤーをいい意味でずっと裏切り続けるストーリー、本当にすごい。

 カオル、お声がかわいい!ぽつぽつ呟く声での「大好き」の破壊力すごい。年下攻めが好きなのでエッチシーンは見ていてとっても楽しかったです……(まだ呆然としている)

 

 以上です。全ての物語に「玉森と攻略キャラクター」じゃないといけない理由がそれぞれとても強く存在しているのがすごく良くて、圧倒的なエネルギーを放っている作品で好きでした。

 


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