トロピカル墓場

好きなものは好きだからしょうがない!!

「執着eye 5」感想

 みなさ~~ん!

 シチュエーションCD、好きですか?

 

 二次元のヤバい男とヤバい演技が好きなので尖った設定のシチュCDをよく好んで聴いています。加えて藪から棒ですが、BL作品における攻めの喘ぎがとても好きです。

 いい声による、時に猟奇的で妄執的で偏愛的な演技、そして攻めの喘ぎ声。それらを同時に内包し、インスタントに楽しめる合法のコンテンツとは、18推シチュCD・シチュボなのではないでしょうか!?

 18推シチュCD・シチュボはもちろんエッチなシーンがあることがその存在意義の大きなところですが、それ以外にもかなりブッ飛んだ設定や展開が含まれることが多く、ニッチなジャンルの中で更にサークル/メーカーからアクセルを踏み込まれハンドルを切られるような、リスナーをどう裏切れるかという攻防が存在している(そんなものはないかもしれない)ことがアツいと思っています。

 そんな欲望する乙女たちに魅せられたにわかオタクが、18歳以上推奨作品を含むシチュエーションCD・シチュエーションボイスのレビューをするコーナーです。

18推シチュエーションCD・カナリアレコード「執着eye 5」

canaria-rec.com

「なんだか俺たち、似た者同士ですね」

大学のサークルの飲み会帰り、酔ったあなたを介抱してくれたのは、
同じく仕事の飲み会帰りの秋山颯真(あきやま そうま)だった。
お互いお酒は好きなものの、慣れ合いの酒席は苦手で、
仕方なく参加した……という境遇に意気投合。
「自分に自信がなく、周りについていくのに必死」と悩みを打ち明けたあなたに、
颯真はヘアサロンのオーナーとして力になりたいとプロデュースを名乗り出た。
早速彼のサロンを訪れ、ヘアスタイルからメイク、ファッションにいたるまで
的確なアドバイスを受け、あなたは徐々に自分に自信をつけていく。

上京したての控えめだった頃から一変。
交友関係も広がり、今時の若者らしい充実した毎日に変わっていく。
あれだけ嫌だった飲み会にも自ら参加するようになり、
まるで魔法をかけられたシンデレラのような気分だった。

“きっかけひとつで人は変われるんだ”
その時は、そう思わずにはいられなかった――

ヤンデレとサスペンスが交錯する物語の真の結末とは……。
この執着は、『愛』か『狂気』か。

 そもそもわたしが18推シチュCDの面白さに気付いたのは、絶対好きだから!と「執着eye 3」を勧められ、その特典CD「春の夢を見る時」の内容に大いに衝撃を受けたことがきっかけでした。作品全体に漂う不穏と緊張感、SEの使い方が好きで、執着eyeシリーズおよびライターの七原みさ先生ファンなので期待していた最新作です。

 

  • 秋山颯真(土門熱)

 初対面からやたら共感して「同じ」を強調する、美容師……など、オタクからするとかなり怖い人なのですが、「軽薄そうに見えるけど献身的で、よくしてくれる陽気なお兄さん」という感じなのかなと思いました。ちなみにあらすじに「なんだか俺たち、似た者同士ですね」とあるけど普通に第一声からタメ口でした(!?)

 ヒロインに上京したての自分を重ねてかっこいい年上として何かと世話を焼いているものの、学生時代に講師に「個性がなくてつまらない」と言われたことから今でも周囲からの反応に人一倍敏感でSNSをよくチェックしている、という性格。ストーリー中盤、その弱い部分が明かされることでヒロインは親近感を抱き、より2人の心の距離が近づいていきます。

 今作は「SNS」が作品の大きなキーというかコンセプトにあるようで、だんだん颯真のネトストっぽさが垣間見えてくるようになると「来るか!?」「来るぞ……」と崩壊の予感にワクワクしました。ヒロインは颯真に出会う前から自撮りや生活のことを頻繁にアップしているようで、颯真はそれを全部監視してスクショしていること、そもそも颯真がSNS上でヒロインを見つけたことが始まりでその後リアルで出会えるように画策して今があるらしいことがのちに判明します。インターネットには危険がいっぱい。

 

 ヒロインが自分に心を開くにつれ、逆に自信をつけて自分から離れていく──という不安を押し殺して、嘘で取り繕いながら陽気にふるまう姿に少しの切なさを感じてしまったのですが、本性が明らかになっていくにつれかなり杞憂だった気がしてしまうほど電波な男でした。

 自分の理想から変わってしまったヒロインに向ける狂気と衝動的な暴力、ヒロインを「お前」と呼んで首を絞めているのに次の台詞では泣きそうになり、ヒロインの言葉ひとつで語尾に♪が付きそうなくらいルンルンになる。陶酔したようなヘラヘラした声色が気持ち悪かった(褒めています)「ヒヒっ……」って笑う声がいい。基本的に話が通じないのでだんだん電波すぎて頭がクラクラしてきます。あとエッチシーンでヒロインより喘ぐかと思うほど喘ぐ(ヒロインは喘ぎません)

 この作品を通して強く印象に残ったのはエッチシーンのバックで流れているヒグラシの鳴き声です。この哀愁がたまらなく好きです……これがいとをかしか(違)そしてトラック3「ツウカン」でヒロインにピアスホールを開けるシーン、めちゃくちゃエッチじゃないですか!?トラックタイトルも完全に「そう」ですよね……エッチなシーンじゃないけど、完全にメタファーだ……


 「君じゃなきゃダメなんだ」「代わりなんてどこにもいない」とヒロインを求めながらも「君にかけたのは俺が俺の理想にするための魔法」と告げるラストシーンについて色々考えてしまった。颯真が執着するのはヒロインではなく「魔法使いの自分」と「理想のシンデレラ」なのだろうか。シリーズ過去作品で描写されていた「ヒロインへの片思いが募りすぎてヤバげな行動を起こしてしまう男」とはタイプが違う「執着」のさまがこの作品にはあったように感じます。

 

本編アフターストーリー。
監禁しているあなたに成りすましSNSを更新し続ける秋山。
その結果、おしゃれになっていくあなたを注目するフォロワーが増えていった。
口では拒絶し続けるあなただったが心の奥底では
褒められることに快感を覚えて……

 あらすじからは想像しきれなかった人怖系の展開(と言うとこのシリーズすべてが人怖系のそれなのですが)でした。個人的に七原みさ先生作品はステラワース特典の方が打率が高がちなのですが今回はこっちの方が好きだな~と思いました。拒絶するヒロインに対して淡々と言葉を吐き捨てる演技が怖……。「そんな単純なところも好き♡」の言い方がかわいくて好き。

 

  • ステラワース特典CD「愛娘の便り」

本編アフターストーリー。
監禁しているヒロインに「親に挨拶をしたい」と話す秋山。
拒否するあなたに対し「まぁキミは恥ずかしがり屋だからね」と
話しの通じない秋山は
スマホでご挨拶動画を撮って送ろうと提案するが……

 もうあらすじを見た時点でそういうことだろ……としか思えなかったのですが本当にそういうことだったので笑ってしまった。信じて送り出した娘が……個人的にですが、なんでハイテンションで第三者に向けてエッチ行為実況をされるとなんとも言えない胸糞悪さが生まれるんでしょうか。教えてエロい人……(死語)そういう気分を与えることもセットで思いっきりやっているのは称賛すべき点だと思います。「変態」って言ってくる演技がすごくて、急降下するラストが怖かった。

 

 以上です。個人的な好み(ツンツンした年下の攻めが好き)もありめちゃくちゃヒットしたというわけではなかったのですが、テンションの上下がジェットコースターのように激しく電波チックなキャラクターの感情に説得力を持たせたり説得力を持たせつつもやっぱり理解できなくさせたりする土門熱さんの演技が流石だと感じた作品でした。

 

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