8月によく聴いた音楽です。
METAFIVE「環境と心理」
「環境と心理」本当にいい曲。去年のフジロックでのこの曲、METAFIVEのラストアルバムのこと、色々なことを思って感傷的になりました。フィンガーノイズの音が胸を締めつけるようです。
KAIRUI「哥」
8月14日に、ライブペイント×音楽のパーティ「自然の中で起きている美しい現象すべて」でKAIRUIさんのライブを拝見しました。イベントに備えてKAIRUIさんの曲を色々聴いて、今のフィーリングで好きだと思った曲。このEP全体に言えることですが、水面が光に当たって反射しているような、氷がぶつかりあうような、硬さを感じる音が水音に交じってきらきらしているのが心地いい。ウィスパーボイスの調教が好きです。
いむ電波.wav「Psychic Escape」
オリジナル・エゴで差をつける。インターネット老人みんなのテンションが上がるダイヤルアップ接続音から意味深な台詞、そしてギターとドラムの音が激しく目立つ王道なツボを押さえたサウンド……と繋がっていく展開にワクワクします。ニュー・ウェイヴ・エレポップ的懐古なセンスと、時折中国語が挿入されるサイバーパンクな世界観の歌詞、ピュアさも大人っぽさも感じる不思議なニュアンスの声の組み合わせ。
配信アプリREALITYでの配信や、K/A/T/O MASSACREへの出演などの活動をしているπさんが作業員としてボーカル参加しています。
咖山喱人(菊池幸利)、雷電遊生(鈴木裕斗)「+-×÷」
男性声優×大都会交響楽のパロディ×アーメンブレイク=優勝です。山手線の駅員が業務時間を終えると=改札外でアイドル業をするというコンテンツで、都会のめまぐるしさを歌った大都会交響楽をパロディするの、素晴らしい文脈。作詞・作曲・編曲はおにぱんず!やHey! Say! JUMP「パレードが始まる」の辻村有記さん・伊藤賢さん。
台詞パートやキャラ声歌唱という声優らしさがふんだんにあるだけでなく、コーラスの声の細かいニュアンスが良くて、
「勇気と希望のmixed colors」→ウィスパーボイスっぽい
「×÷繰り返して 心丈夫になる」と「1 2 3 4 5 6 7 8」の間→リズムを取る吐息が入っている
と、息遣いフェチ(?)にはたまらない音がたくさん聴こえてきます。
歌詞は「揺らりキラリフワリ漂えば」の韻も気持ちいいし、サビも、
「目を覚まして」→電車を利用する人々へのメッセージ
「巡る世界に」→一周する山手線の路線のイメージ
「愛すべき物語」→各駅の向こうにある人々の営み
「時計仕掛けの夢」→時刻表とともに訪れる電車というロマンス、あるいは人間の希望そのもの
と、ロマンチックな歌詞に曖昧なまま耽溺することも、電車・駅関連のメタファーを見つけてニヤニヤすることも、込められた人間賛歌的なメッセージに感じ入ることもできてすごく好きです。
霊臨(TAMARIN)「スピる!上野だんじょん」
霊臨(TAMARIN)さんのアルバム『Log in!』の先行シングルの曲です。上野の街を舞台に、自他、社会性と生きづらさ、偽ハイブランドと低収入、様々な境界でぎりぎり生きている人々が行き交うさまが、同レーベル・三次元遊戯のビートメーカー☆SUSHIさんのトラックの上に乗せられています。
ファッショナブルなホームレス連合
横でカップルが抱きしめあったり
全部のカップルお揃いの
数珠持っててパワーを信じてる
観光地的な「ここに居場所がないハッピーな人」を引き寄せ、しかし治安があまり良くなく、駅周辺も綺麗とは言えずどこか淀んだ上野でなんとなく感じる居心地悪さ(自分が訪れた範囲で感じているイメージです)が、SNSの延長線上にあるようなボキャブラリーで綴られており、特に↑の部分が好きです。(と言ってもわたしは観光客側ですが)
8月の原稿作業中にインスピレーションを感じてずっと聴いていたので、同人誌はそんな話になっていたらうれしい。
パソコン音楽クラブ「KICK&GO(feat.林青空)」
三三七拍子のリズム、サビの早口っぽい勢いのよさに多幸感と元気が沸いてくる。ラストのファミコンで自爆する効果音みたいな8bitの音が好き。MV最高で本当に今年一見たYouTubeってこれかもしれません。
和泉柊羽(武内駿輔)、堀宮英知(西山宏太朗)「Hidden Eclipse」
2018年リリースの、自然現象をテーマにしたQUELLの楽曲第1弾。日食がモチーフになっています。わたしはQUELLの楽曲プロデュースを手がけるはまたけしさん、いや、はまたけし様が大好きですが、その個人的な刺さりを鑑みずとも、ひとつの極まった美しさだと思います。
自然や幻想と電子音が融合し、シリアスな中にオーガニックな要素があるはまたけしさんの極地の1曲と言ってもいいと思っていて、例えばサブベースと鋭いリズムは全体をクラブユースな雰囲気にしつつ自然の雄大さ・厳しさのイメージとも繋がります。
あの子らの 寝たあとの
隠し事 知られぬよう 鍵かけようそよぐ風 月と太陽が出逢う調べ
つま先立ちで歩く離れ
音立てぬように無音で騒ぐ誰も気づかなくても 2人だけの空
決して逃さないように 狙いを定めてた君と結ばれるなら 太陽の指輪
夢の中でそっと交わし 昼へ帰ろう
美しすぎて感情。セクシーな情動に訴えかけるのではなく、身体表現的なものを感じる、YUKI「うれしくって抱きあうよ」的なエロティックな歌詞。高低差のあるふたりの声があくまでもソフトなトーンで歌っている。だからこそ、2番の後から繰り返される「すべてを捨てて 逃げ出せたらいいのに」の歌い方に胸が締め付けられます。
THRIVE「Night Driving」
2000年代からオープンカーで駆け抜けてきたような2step。豊永利行さんの麗しい声の、ちょっとダサめなラップが好き。いわゆるシティポップと呼ばれている音楽たちそのものではなく、シティポップブーム以降の80年代を意識した曲(SexyZone『ザ・ハイライト』的な……)の感覚を感じました。ラスサビ前の三連符のドラムが気持ちいい。
輕描淡寫「小圈子」
2814リスペクトを感じるAmbient Vapor。雨で濡れたアスファルトに反射する蛍光灯。
8月によく聴いた音楽でした。
イベント初サークル参加まで1週間を切って、感情になっています。早くこれになりたい……。いろむすびはイベント終わってからやろうとしてるのですがTLを見てめちゃくちゃプレイが楽しみになっています!