トロピカル墓場

好きなものは好きだからしょうがない!!

スプステその後のその後

最近はずっと観劇中気づけなかったことを想起して後悔したりロスに苦しんだりしているけど、今日はラストの選択肢のシーンあたりを思い出して、久しぶりに舞台のよさそのものに浸ってうっとりする時間を過ごした。

内なる存在をすぐに受け入れることができない蓉司のためらいと決断を口にするシーンが好きだ。

ゲームをプレイした時は、何が現実で幻覚なのか曖昧な理不尽さを諦めたように受け入れる蓉司に「信頼できない語り手」的な要素も感じていたけど、舞台の蓉司は現実の、日常を楽しもうと過ごしていた。自分にとっての原作とは異なる印象だったけど、それが作品に人間の強さと優しさみたいなものを加味していてよかった。登場人物が肉体の運命によって振り落とされていく中、蓉司はそれに抗って、願って、思いを遂げた物語でもあることを舞台から教えてもらった。

櫻井圭登さんは不思議な俳優さんだと思う。ふわふわしていて線が細くて、ジェンダーみたいなものすら凌駕した神聖さを持っていて、すべてを受け入れる強さも備えていてすごい。スプステの公演を通して、蓉司が強さを手に入れていくように見えたのは彼の表現力だと思う。本当にすごい。

あと自分は演出家・末満健一さんファンなのですが、彼はシンメトラーを自称するくらい対称的な照明を用いることが多く、そういう舞台をよく見てきたけど、中屋敷さんの照明は非対称な感じが面白かった。

 

ゲームや音楽の感想を文章にするようになって気づいたことだけど、自分はかなりミクロな視点優位でそれらを見ているような気がする。自分の感じた気持ちというのも感想の要素として大きくて、感情が作品の何を由来とするのか、気になった部分をとにかく考えて考えるような感じ。あと、知識がないからリリカルな言葉を重ねて表現することしかできない。

こうやって考えると、大学で勉強していたことの癖が顕著に出ているのがわかる。いいことなのか悪いことなのかはわからないけど、自分ではもっと大きなテーマとか、頭のいい(この表現がもう頭悪い)感想を抱きたいと思っていて……。

ただ、パソコン音楽クラブとリョウコ2000のインタビューを読んだ時、

個人名やジャンル名で語ったり、歴史的な文脈をしっかり理解した人から批評されるより抽象度が高くてロマンチックな、リリカルな表現で喩えてくれた方がしっくりきます。

と西山さんが仰っていて、自分のこの主観的な感情をなんとかフラットっぽくしている文章も、ネットの誰かがおもしろがってくれたらそれでいいのかもしれないと少し溜飲が下がったのを覚えています。

 

Telematic VisionsさんとMaltine Records主催のtomadさんが出演されるとのことでアニメ&インターネットなダンスミュージックのパーティー「すげえインターネット」に行った。

テレマビさんがケン・イシイのExtraからピチカート・ファイヴからOs-宇宙人までかけていて、すごく幅広く(それでいて一貫したものはあって)、かつわたしのツボを抑えていて最高だった。自分がネット音楽に興味を持ったきっかけがマルチネなので、tomadさんのプレイを見られただけでもワー!だったし、2020年代らしからぬ曲をたくさんかけていたのがあの頃自分が憧れていたあの感じ……!となって感動でした。ゲストお2人きっかけで行ったけどどのDJの方も楽しかったな。

 

スプステをきっかけに、自分の中で現場に行くことについて吹っ切れたようなところがあって、少しずつ色々なモチベが回復しつつある。(もちろんご時世と健康状態を考えながらだけど……)

本当に18禁BLゲームに人生を変えられたオタクすぎる。18禁BLゲームに救われた人間はいるんですよ。ありがとう……