トロピカル墓場

好きなものは好きだからしょうがない!!

EROSIONの好きな曲について語るスレ

 EROSIONは、Rejetの作品『CARNELIAN BLOOD』に登場するバンドおよびキャラクターボイスを担当する男性声優らのグループです(担当声優は千葉翔也さん、ランズベリー・アーサーさん、鈴木崚汰さん、広瀬裕也さん、豊永利行さん)。楽曲がサブスク配信されていること、自分のきっかけも楽曲だったこと、6月でRejetが創立15周年ということもあり、個人的に好きな曲を紹介します。(BIG感情になるので公共性を優先して(?)、キャラクターのフィルターを通して感じられる表現についてはキャラクターの下の名前、声優さんの表現だと感じられるものにはフルネーム+さんでお送りします。)

 

EROSION「The Sun Also Rises」

作詞:Daisuke Iwasaki、作曲・編曲:高橋修平(SUPA LOVE)

『"EROSION" 1st ALBUM from CARNELIAN BLOOD 5-Vocal-Band Ecstasy Ver.』収録

The Sun Also Rises

The Sun Also Rises

  • provided courtesy of iTunes

 5人の声の個性が1番のサビ前までにすべて発揮されている構成が好きです。16ビートでラップのフロウっぽいメロディのAメロでは優等生っぽさが隠しきれない千葉翔也さんの声にランズベリー・アーサーさんの壊れ系の声が重なる。Bメロでは広瀬裕也さんの高音、鈴木崚汰さんのセクシーで豊かな声の伸び、豊永利行さんのがなったトーン……と畳みかけていきます。サビはコーレスというか煽れるパートもあり、たとえばライブ1発目でも2発目でもラストスパートでも納得する、ブチ上がり感と安定感どちらも備えた曲だと思っています。

 

トキシン(千葉翔也)「白砂」

作詞:Daisuke Iwasaki、作曲・編曲:野村勇輔

『EROSION with YOU from CARNELIAN BLOOD Vol.5 TOXIN「Dancing on the edge」』、『"EROSION" 2nd ALBUM「NEW MIXTURE」from CARNELIAN BLOOD』収録

白砂

白砂

  • provided courtesy of iTunes

 変拍子。サビの「掴めないよ 宙を舞う白い砂塵が」の「が」の鼻濁音がたまりません!ちょうどこのジャケットイラストのような、息が白くなって肌を刺すようにキーンと鳴るサウンドの不穏さ。トキシンはバンドの曲では露悪的な歌詞や歌唱をすることもありますが、翻って陶酔的でストイックな歌声には、霊的なものを感じます。

 

EROSION「NEVER LET "U" GO」

作詞:Daisuke Iwasaki、作曲・編曲:玉木千尋

『EROSION with YOU from CARNELIAN BLOOD Vol.3 NEIGHT「NEVER LET "U" GO」』、『"EROSION" 2nd ALBUM「NEW MIXTURE」from CARNELIAN BLOOD』収録

NEVER LET “U

NEVER LET “U" GO

 「今、僕は狂いダしてる」「…欲しいんだよ」などこれぞ岩Dなワードが飛び交う曲。「炎に巻かれた森の中で眠る貴女を抱きたい─────………」←いくらなんでもダッシュが長すぎる。ゴアっぽいというかバングラ的な音や節回しはとにかく病的なまでのドロドロした熱っぽい感情、「眠れない真夜中の愛の太陽」のイメージと重なる曲。

 この曲はジャケットイラストとトレーラーがとにかくいい。


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ビャクヤ(広瀬裕也)「Looping」

作詞:Daisuke Iwasaki、作曲・編曲:玉木千尋

『EROSION with YOU from CARNELIAN BLOOD Vol.2 BYAKUYA「Devil's Dinner」』、『"EROSION" 2nd ALBUM「NEW MIXTURE」from CARNELIAN BLOOD』収録

Looping

Looping

  • provided courtesy of iTunes

 ラテンっぽいパーカッションの微熱と歪んだギターにざらついたウィンドチャイムのchillなコントラストは諦念のようなムードを感じさせて、ビャクヤというキャラクター、さらにはRejetが描く「病み/闇」の表象と重なります。

 (急に作品の話をしますが)5人をメインにしたドラマってレコーディングが終わらないというストーリーから始まり、色々問題があるけど音楽には命かけてるイカれた奴ら★みたいな印象を受けるのですが、展開するにつれトラウマ体験とか彼らが彼ら自身に感じている強い嫌悪とかが露わになって、過激な情熱と病んだキャラクターという危ういバランスこそ作品の本質であることに気づかされます。ソロ曲ではあるもののこの感じを象徴するのが「Looping」だと思っています。

 

EROSION「Dancing on the edge」

作詞:Daisuke Iwasaki、作曲・編曲:玉木千尋

『EROSION with YOU from CARNELIAN BLOOD Vol.5 TOXIN「Dancing on the edge」』、『"EROSION" 2nd ALBUM「NEW MIXTURE」from CARNELIAN BLOOD』収録

Dancing on the edge

Dancing on the edge

  • provided courtesy of iTunes

 なんか「2クール目のOP」感がないですか!?「オリオンをなぞる」に対しての「ミッシングリンク」みたいな、物語が終盤に向かっていく切なさと胸熱さみたいなものを感じるというか……。

 この曲は歌詞が秀逸だと思っていて、その語りのためにRejet作品について私見を述べたい。

 シチュエーションCDというのは、キャラクターが聴き手の立場であるキャラクター(ボイスレス)に対して特定のシチュエーション下でコミュニケーションする音声ドラマで、いわゆる「女性向け」は、語り手が男性キャラクター、聴き手が女性キャラクターで異性愛を題材とするものが多いです。おそらく内容的には「女性向け」「男性向け」とされるものらに相違はなく、ロマンティックな感情をかきたてるものがコンテンツの中心になっていると思います。Rejet作品にはそれらと違ったテイストのキャラクターが登場することも多く、有り体に言うとイっちゃってるキャラクターが多い。暴力、命にかかわる暴力、罵倒、モラハラ、試し行為、逆にヒロインから自分へ暴力を無理矢理振るわせる、ヒロインの下着を切り刻んでリスの形にするなど、その過激さは「リジェ男」と呼ばれてブランド化しています。……というように、コンテンツのフックになるのは「ドS」でパッケージされた部分ですが、「お約束」なロマンティック・ラブとは異なり、商業的なヒットの感性からも逸脱した作品を消費者があえて選択し克服していくという構図には、なにか解放的なものを感じます。

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CARNELIAN BLOOD』のボイスドラマでも、ヒロインがキャラクターから受ける暴力的行為は5人が生活するマンションに軟禁されたりシンプルに殺害されたりするなど、枚挙にいとまがありません。また、あまり考えたくはありませんが、ジェンダー規範的なマイクロアグレッションがこのジャンルには色濃く、そもそもの加害性について考えてしまうことが多いです。ですが彼らなりの壮絶な「病み/闇」も明らかにされて彼らなりの行動原理の一端を感じられることも事実です。さらにトラウマを抱えた彼らをフェチ化している自らの加害性にも気づかされる……という不健康なループが、この作品だと思っています。

 前置きが長くなりましたが、「Dancing of the edge」の歌詞は、加害者と救世主をどっちもやっている感じが作品を象徴していてとても好きです。

汚れた姿も
食べきってやる

どんな苦しみでも 出口を求めている
答えの無い世界 僕になすりつければいい
今だって
ナイフを捨てて
今だって
君の手を握りしめたら
未来を掻き鳴らす

象徴的なサビの歌詞。そして、2番のネィトパート「君が壊れるために生きなくていいよ」がめちゃくちゃ好きです!対ヒロイン/バンドという2つの顔どちらも知っているゆえの混乱がすごく楽しい。

 

EROSION「Vigilante」

作詞:Daisuke Iwasaki、作曲・編曲:宮原康平

『5-Vocal-Band "EROSION" 1st Single from CARNELIAN BLOOD「From a Spicy Peak」』、『"EROSION" 1st ALBUM from CARNELIAN BLOOD』収録

(INTRO) Vigilante

(INTRO) Vigilante

  • provided courtesy of iTunes

 1stシングルのoverture的なトラックです。EROSIONの音楽がこのインダストリアルなベースミュージックから始まるの、めちゃくちゃアツい……。コンテンツの最初だからか(?)『CARNELIAN BLOOD』以前から既にRejet作品に出演している豊永利行さんの声が目立つような気がします(体感なのでそんなことはないかもしれません)。初期は特にギターロックサウンドが多いので、今でもこの曲は異色に思えます。

 ていうかこのシングルの構成もカッコよくて、後に続く表題曲はなんか全然ポジティブじゃないんですよね。緊張感があって、声からイメージできる彼らの表情が笑顔じゃない感じがする。カップリングの「Underdogs」でようやく声に楽しさが乗り、どこかライブっぽい構成だと思います。

 

 5人がボーカルを担当するバンド曲と各キャラクターにフィーチャーしたソロ曲をあわせて、その他にも多数楽曲がありますので、気になった方はぜひ!1stアルバムより前のボイスドラマもサブスクで聴けますが、基本的に登場人物同士がマトモにコミュニケーションできていなかったり、パニックを起こしたり、怒鳴ってライブハウスの備品を破壊したり、Fワードの規制音の代わりにエレキギターがかき鳴らされたりしていて、人を選ぶというのが正直な気持ちです。が、逆に気になるというハードコアな方はぜひ……!そしてお友達になってください!

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