2月16日から『獣愛ブースト音楽劇「Lamento -BEYOND THE VOID-」』を観劇している。
18禁BLゲーム「Lamento -BEYOND THE VOID-」を原作とする舞台で、ゲームブランド・ニトロキラルの舞台化シリーズの3(再演を別作品としてカウントするなら4)作目だ。
わたしは同ブランドのゲーム「sweet pool」が好きで、2022年に舞台化されたものを観劇して以降この「キラルステージ」シリーズの観劇を続けている。
このシリーズの特徴として挙げられるのは、攻略対象のキャラ(いわゆるルート)ごとの内容を日替わりで上演することだろう。「ラメステ」初日は瀬戸祐介さん演じるバルドのルートだった。
今回の自分は原作・俳優・スタッフのいずれにもファンや目当てとして該当しない状態で公演に来ていた。わたしはキラルステージのファンなのだ。
あくまで私的な好みとして、キラルステージがいい舞台であると断言することには少しためらいをおぼえる。シリーズを一貫して特に、かなり気になるのは脚本だ。原作がノベルゲームであるならそのテキストを具現することこそ舞台化であると思うのだが、キラルステージはいわゆる地の文を主人公や狂言回しのキャラクターがそのまま喋っていることが多い。
たとえばライに出会った時にコノエがライの容姿や心を奪われたことを口にするけど、実際に舞台上に登場しているのだから容姿は見ればわかるし、心を奪われた演技をすればそれでいいと思う。
ボリュームのある内容を試行錯誤した結果なのだと気持ちを汲むことはできるが、さらに被害者意識じみた言葉を続けるなら演劇の力を信じていないように感じて少し残念だ。
そう、わたしは、演劇というものが好きなのだ。
パンデミックの渦中においても演劇が大好きで、だから「世間」とのずれを起こしてどうしようもなくなってしまった。
そんな時に自分を救ってくれたのがゲーム「sweet pool」と音楽朗読劇「黑世界 ~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~」だった。
どのように自分を「救った」(安易な表現だ)のかは今まで断片的に話したことがあるのでここでは向き合うことを避けるが、わたしはそれらの作品たちによって自分を獲得しなおした。
そして2022年に「sweet pool」の舞台化である『本能バースト演劇「sweet pool」』を観た。その時にBLと演劇の臨界的な想像力が見えたから、色々言ったけどわたしはキラルステージに行くのだと今は思う。
BL×実写であれば、今はドラマの方がさまざまに制作されているのだろう。でも演劇が好きなのだ。フィクションと生きた人間のせめぎ合いを全身で感じることが好きだ。
uamiさんの「ハートのしるし」という曲をコノエっぽいとなんとなく思い出していた。
ただしいことよ、苦しいことと
そうわかってるよ
そうわかっても尚
簡単には消えない
この脳裏押しつけられたtatto
火付けに来ただけなの?
「良かったらどう?」捕まらないで!
色、かたちどう見てもheartみたい
悪い支配の呪文、呪文
自分のスプステの感想を見返していたら、
自分の心と身体を持ちながらも他者や自分の意思が介在しない現象によってコントロールされてしまう人間が、「普通」から外れることで加害を受けながらも自己の「生」の在り方を選びとる話
と書いていて広く見れば今回もテーマとしては近しいかもしれないと思った。
ラメステの感想は改めて言葉にする時間を作りたい。ドマフラも……。
ところでキラステの公演では近くの席の人やランダムグッズの取引で会った人など初対面の人とのハートフルなイベントが起こりまくっていて、竹内佐千子『2DK』みたいなことが起こってるんだが……と新鮮に感動している。キラルヌクモリティ……。